ウルトラの父(ウルトラのちち、本名:ウルトラマンケン、英表記:Father of Ultra)は、円谷プロ制作の特撮テレビドラマシリーズ「ウルトラシリーズ」の作品に登場する、架空のキャラクター。
1972年放映の『ウルトラマンA』第27話「奇跡! ウルトラの父」で初登場。
概要[]
M78星雲光の国の宇宙警備隊の大隊長[1]兼最高司令官を務める。
ウルトラの母とは夫婦関係にあり[2]、ウルトラマンAの養父かつウルトラマンタロウの実父で、ウルトラセブンは義理の甥[3]である。ウルトラマンなどの他のウルトラ兄弟との実の親子関係は無いが、その偉大さや人柄から実の父のように慕われている。本名は長らく謎[4]だったが、2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で「ウルトラマンケン」[5]であることが明かされた。
『ウルトラマンA』第27話でヒッポリト星人にブロンズ像にされたウルトラ5兄弟の救出に現れたのが初登場である。この時はヒッポリト星人と戦って圧倒したが、長旅の疲労で敗れ、エースに後を託して倒れた[6]。その後、第38話で無事に復活し、サンタクロースの姿で地球に現れる[7]。『ウルトラマン80』第38話で空に映るイメージとして登場し、80を励ました。
その後のTVシリーズは長らく登場の機会がなかったが、昭和ウルトラマンシリーズと世界観を共有する2006年の『ウルトラマンメビウス』ではメビウスを地球へ送り出す宇宙警備隊の大隊長として登場する。第37話では地球に降臨し、ジャシュラインに黄金にされたメビウスを助けた[8]。
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では光の国を襲撃したウルトラマンベリアルを迎え撃つ。元々ベリアルとはウルトラ大戦争を共に戦った旧友であり、対峙した際は、説得して平和的解決を試みていたが結局戦うことになり、最後はベリアルに敗北。光の国や他の戦士と共に氷結してしまった。その後ウルトラマンゼロがベリアルを倒し、プラズマスパークエネルギーコアを取り戻した事で復活している。
なお、本来の役職「大隊長」と呼ばれるのは『ウルトラマンメビウス』の劇中だけで、それ以前は「お父さん」などと呼ばれていた。ただし、発言したのは両親がおらずウルトラの父に育てられたという設定の、言うなれば養子のエースと、実子のタロウの2人のみ。
登場作品[]
テレビシリーズ[]
- 『ウルトラマンA』(1972年):第27話、第38話
- 『ウルトラマンタロウ』(1973年):第39話、第40話、第51話
- 『ウルトラマンレオ』(1974年):第38・39話
- 『ウルトラマン80』(1980年):第38話
- 『ウルトラマンメビウス』(2006年):OP、第1話、第27話、第29話、第37話、第49・50話
劇場版・オリジナルビデオなど[]
- 『ウルトラマン怪獣大決戦』(1979年)
- 『ウルトラマン物語』(1984年)
- 『ウルトラマングラフィティ おいでよ!ウルトラの国』(1990年)
- 『ウルトラマン超闘士激伝』(1996年)
- 『新世紀ウルトラマン伝説』(2002年)
- 『新世紀2003ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE』(2003年)
- 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009年)
- 『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)
人間体[]
- サンタクロース(演:玉川伊佐男)
声の出演[]
- 鹿島信哉(『ウルトラマンタロウ』)
- 石田太郎(『ウルトラマン物語』)
- 塩屋浩三(『ウルトラマングラフィティ』)
- 玄田哲章(『ウルトラマン超闘士激伝』)
- 西岡徳馬(『ウルトラマンメビウス』以降)
- 初登場時の声は、初代ウルトラマンやウルトラマンジャックの声のピッチを低くした物を使用。
- 『ウルトラマン80』第38話にも登場しているが、声優は不明。
データ[]
- 身長:45メートル(かつての姿では40メートル)
- 体重:5万トン(かつての姿では4万5千トン)
- 年齢:16万歳
- 飛行速度:マッハ15
- 走行速度:時速1000キロメートル
- 水中速度:200ノット
- ジャンプ力:500メートル
- パンチ力:直径100キロの小惑星も砕く。
- キック力:ジャンプキックは原子爆弾10発分の威力。
- ウルトラホーン
- 頭の角はウルトラの父の家系のみに伝わるもので、宇宙の情報をキャッチするアンテナの役目を果たしており、14万年かけて現在の長さになった。
- 髭
- 髭はウルトラ族の中でも4万歳以上の者にしか生えず、登場しているウルトラ戦士で生やしているのは彼とウルトラマンキング、そしてウルトラマンチャックのみである。
- 「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」で登場したかつての姿は「若き日のウルトラの父」と年齢による変化と記述された書籍があるが、「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE Visual File」や「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 超全集」によれば、ウルティメイトウォーズでのエンペラ星人戦で現在の姿に覚醒をし、「ベリアルの乱」ではかつての戦友に真の姿の力を使えなかったとあり、あくまでタイプチェンジによるものである。事実、「ベリアルの乱」以前のエンペラ星人戦では現在と同じ姿であった。「ベリアルの乱以後は元の姿に戻ることを封印した」とのことであり、前述の「ウルトラホーンは14万年かけて現在の長さになった」は「ベリアルの乱以後」と思われるが、厳密には13万歳で現在の長さになっている。
技・能力[]
- ファザーショット(ファザー光線)
- 両手をL字型に組んで放つ光線。ナマハゲを倒し、漫画『ウルトラマン超闘士激伝』でもメフィラス大魔王に使用している。
- クレッセントショット(クレセントショット)
- 手先から発射する三日月状光弾。ヒッポリト星人にダメージを与えた。
- ウルトラシャワー
- 両手先を合わせて水を噴射する技。火を消す他、ヒッポリト星人のヒッポリトタールを洗い流すことも可能。
- エネルギービーム
- 『ウルトラマンA』第38話で使った右手から放つ回復光線。
- パワービーム
- 角から放射するエネルギー光線。映画『ウルトラマン物語』で、タロウの角にエネルギーを集める特訓の際に使用した。5万年前にジュダが現れた際、父自身も自分の父親(タロウの祖父)から同じ特訓を受けていたと言う。
- ファザーチョップ
- 相手の喉元に叩き込む、強力な水平チョップ。ヒッポリト星人との戦いで披露した。
- ファザーキック
- すべてのパワーを足に集中して放つ、メガトンキック。ヒッポリト星人戦では、相手の眼前でジャンプして、顔面に蹴り込んだ。また、ジャシュライン戦では、腹部めがけて回し蹴りを繰り出した。
- ファザースロウ
- 敵を正面に投げ飛ばす技で、ヒッポリト星人戦やジャシュライン戦で使用して、ダメージを与えた。
- ファザーバリヤー
- キングザウルス三世のカーテン状バリヤーを再現したもの。映画『ウルトラマン物語』で、タロウの特訓のために使った。
- カラータイマーによるエネルギー回復(名称不明)
- カラータイマーを外して投げ、仲間のウルトラマンを回復させる事ができるが、自分は死んでしまう。長旅の疲労でヒッポリト星人に苦戦した父は、まだ動けないAに自分のカラータイマーを投げ、回復させて倒れた。
- ファントムファイヤー
- 念力で相手の足元に炎を発生させる。映画『ウルトラマン物語』で、タロウの特訓のために使った。
- テレパシー光線(名称不明)
- 映画『ウルトラマン物語』で使った技。頭から光線を放ち、幼少時のタロウの心にミクラスとエレキングの戦いを映し出した。
- ウルトラチャージ
- 『ウルトラマンメビウス』の第37話でカラータイマーから放った光線。黄金像にされたメビウスの壊れかけたカラータイマーを直し、同時にメビウスを復活させた。
- チェインジング・フラッシャー
- 前方に突き出した右手先から赤色の光線を発射する。映画『ウルトラマン物語』で、タロウを地球に派遣する際に使用した。
- タイマーシュート(本編未使用)
- カラータイマーから発射する光線。
- ビッグ光線(本編未使用)
- ゾフィーのM87光線によって塗り替えられる以前に光の国公認世界記録の80万度を記録していた光線。
道具・武器[]
- ウルトラアレイ
- 腰のウルトラバックルに隠された鉄アレイ形の道具。特殊な閃光と様々な能力を発揮する。対ヒッポリト星人戦では一時的に相手の動きを止めた。また、メビウスを送り出す際にメビウスブレスを装備させるためにも使い、さらに対ジャシュライン戦では敵の光線(ゴールジャシュラー)を弾き返し、さらに額のランプを一撃で破壊する威力を発揮した。
- ウルトラフェザー
- 投げつけて敵に突き刺す羽根形の武器。刺さると同時にショック波を放ち、敵を粉砕する。『ウルトラマンタロウ』第51話でリンドンを完全に倒した。
- ウルトラクラウン
- 『ウルトラマンタロウ』第51話で使った花の冠のような道具。生命エネルギーを発生させて死んだ人間を甦らせる。
- ウルティメイトブレード
- 3万年前のエンペラ星人との戦いで使った剣。『ウルトラマンメビウス』第49話の回想シーンで登場。
- ウルトラキー
- 光の国のエネルギーをコントロールする鍵で、第2ウルトラタワーに隠されており、これを失うとウルトラの星は闇に包まれ、軌道を外れて宇宙をさまよってしまう。また光線銃としても使用可能で、一発で小惑星を粉砕するほどの威力を備えている。セブンは子どもの頃、ウルトラの父がキーを使って光の国に接近した悪魔の星デモス一等星を粉砕したのを見ている(ダンの回想シーンで登場)。
その他[]
- ウルトラの父のデザインは『ウルトラマンA』の放映開始後に一般から公募し、その最優秀作品が採用されている(予告編で原画が紹介された)。抽選によるスクリーン公開も行われたウルトラの父初登場の回は大好評を博し、ウルトラの父登場はウルトラシリーズ史上類を見ない大イベントとなった。
- 『ウルトラマンA』第27話(初登場時)のスーツは、新造ではなく、ゾフィーのスーツを改造して製作した物(ゾフィーの腹部にある線が薄く確認できるほか、ゾフィーのトサカの黒が後頭部にのみ確認できる)。
- ウルトラ大戦争におけるウルトラ父の戦いの様子は『ウルトラマンタロウ』第25話や『ウルトラマンメビウス』第49話などの回想シーンにて僅かであるが見られ、『タロウ』第25話のイラストではダンガー、ゴキネズラ、ザゴラスと戦っている姿が、『メビウス』第49話ではウルティメイトブレードを手にエンペラ星人と一騎打ちを繰り広げる姿が確認できる。
- バラエティ番組への出演
脚注[]
- ↑ 大隊の長ではなく、幹部の纏め役と言った方が適切。
- ↑ 光の国で繰り広げられた戦争でエンペラ星人率いる怪獣軍団を撃退し、負傷したところをウルトラの母と出会い、その看護を受けたことをきっかけとして恋愛関係になって結婚したとされている。
- ↑ 設定ではウルトラの母がウルトラセブンの母の妹、つまりセブンの叔母とされている。従ってウルトラの父とセブンに直接の血縁はない。
- ↑ 『ウルトラマンメビウス』で、エンペラ星人からも「ウルトラの父」と呼ばれた。
- ↑ 「ウルトラマン」まで含めた名称は「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE Visual File」(角川書店)や「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 超全集」(小学館)の記載より。
- ↑ 映画『ウルトラマン物語』では、「タロウの角にエネルギーを集める特訓でエネルギーを使い過ぎて敗北した」となっている。
- ↑ 劇中終盤で「なにせわしは魂だけ」と語っており、完全復活では無かったと思われる。
- ↑ 過去にウルトラの父が地球に来た時期(登場した放送回)が主にクリスマス前後だったため、これを記念して街ではこの時期に「ウルトラの父降臨祭」が開かれている。
関連項目[]
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